大手銀行2期ぶり減益 3月期連結、3兆円割れ見込み
FujiSankei Business i. 2007/4/17 TrackBack( 0 )
グループの信販大手、オリエントコーポレーションの巨額赤字で、17%減益となるみずほフィナンシャルグループ
■特殊要因一巡…本業不振鮮明に
三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行6グループの2007年3月期連結決算は、最終利益の合計で2期ぶりの減益に転じる見通しだ。バブル期を上回り過去最高を記録した06年3月期の約3兆1200億円から、2兆円台に落ち込む見込み。
景気回復に伴う融資先企業の経営改善で、過去に計上した貸倒引当金が利益として戻ってくる特殊要因が一巡し、はげ落ちるためだ。灰色(グレーゾーン)金利の撤廃で系列ノンバンクの経営が軒並み悪化し貸倒引当金の積み増しを迫られることも収益を圧迫する。本業の貸出業務は伸び悩んでおり、好調だった大手銀の業績は早くも転換点を迎え、本業不振が鮮明となる。
≪戻り益大幅減≫
大手銀はバブル崩壊後の不良債権処理の過程で、融資先の破綻(はたん)による回収不能に備えた貸倒引当金を大幅に積み増してきた。この結果、各行とも巨額の赤字に陥ったが、「金融庁の厳格査定により、過剰に計上された」(関係筋)ともいわれている。
ところが、ここ数年の景気回復で状況は一変。不良債権となっていた融資先の経営が軒並み改善し、「債務者区分」が格上げされ、多額の引当金が不要になり、取り崩しが戻り益として計上された。戻り益は06年3月期に三菱UFJで約7000億円に達するなど、各行の利益を大きくかさ上げしてきた。
しかし、07年3月期は融資先の経営改善が一巡し、過去の積み増しの恩恵である戻り益が大幅に減少する見通しだ。
≪ノンバンク打撃≫
一方で、系列ノンバンク向けの貸倒引当金は大幅に増える。12月末の貸金業法改正で、09年までに刑事罰の対象となる出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の間の灰色金利が撤廃されることが決定。過去に取りすぎていた利息の返還や貸出金利の引き下げで、ノンバンクの経営悪化が避けられないためだ。
みずほフィナンシャルグループは、信販大手のオリエントコーポレーション向け債権の引当金積み増しが響き、最終利益が当初予想を下回る前期比17%減の5400億円になる見込み。
メガバンクと提携している大手消費者金融も大幅赤字に転落する。三菱UFJはアコムを、三井住友フィナンシャルグループはプロミスをそれぞれ持ち分法適用会社としており、グループ連結利益を大きく押し下げる要因になる。この結果、3メガバンクの最終利益は、前期比で10%超の減益となりそうだ。
≪利ざや改善期待≫
一方、本業の貸出業務では、日銀が2度の利上げを実施したが、「貸出競争が激化し、貸出金利の引き上げが思うように進んでいない」(大手銀行関係者)。利上げで調達金利が上昇しており、貸出金利との差である「利ざや」収入は低下している。また、各行が注力している投資信託などの手数料収入も依然、小さく、収益の柱に育っていない。
ただ、利益が伸び悩む一方で、3メガバンクは昨年に公的資金を完済した。株価上昇による株式含み益の増大で、大手銀の健全性を示す自己資本比率も軒並み改善されそうだ。「今後の金利上昇で利ざやの改善が期待できる」(外資系アナリスト)との見方もある。
大手銀の経営は、利ざやの改善を進める一方で、付加価値の高い金融サービスを提供し手数料収入を稼ぎ出せるかという、本業での実力が問われる局面に入ったといえそうだ。